PMTC
「歯石(しせき)」という言葉は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
当院にも「歯石取り」ご希望の患者さんが多くいらっしゃいます。
今回は「歯石取り」とは実際どのような治療なのか、その治療内容と重要性を詳しく解説していきます。
Contents
歯石とは
歯石とはプラーク(歯垢)が唾液の成分によって石灰化し硬くなったものです。
プラーク(歯垢)は歯ブラシで除去することができますが、歯石は取ることができません。歯科医院で取り除く必要があります。
歯石が付着するとさらに周囲に汚れが溜まりやすくなり、歯周病の原因となってしまうことがあります。
縁上歯石と縁下歯石
歯石には白い歯石と黒い歯石があり、細かく分けると縁上歯石と縁下歯石に分けられます。
・縁上歯石
縁上歯石は、黄白色や灰白色をしていてプラーク(歯垢)が原因です。縁下歯石よりもやわらかく歯科医院で比較的簡単に除去することができます。
歯と歯ぐきの境目よりもおおよそ上にある歯石になります。付着したままにすると周囲に汚れが溜まりやすくなり歯ぐきに炎症を起こす「歯肉炎」の原因になります。
・縁下歯石
縁下歯石は、黒褐色をしていて、プラークに加えて、歯肉からの出血や歯肉溝滲出液が石灰化に関与しています。
歯と歯ぐきの境目よりも下の歯周ポケット内に沈着します。縁上歯石よりもかなり硬く、除去をするのが困難です。歯科医院で除去する場合も1本1本時間をかけて除去しなくてはなりません。
歯周ポケット内に歯周病菌が増殖する要因となり、「歯周病」の原因となります。
歯石取りの治療内容
歯科医院で歯石取りを行う場合、「超音波スケーラー」や「エアースケーラー」といった器械を使う場合や「手用スケーラー」という先に刃がついたような器具を使う場合があり、いずれの場合でも器具を用いて歯石を弾き飛ばしていきます。
歯周病治療の一環として歯石取りを行う場合は、保険治療内で治療をすることが可能です。
ただし歯周病検査を行なった上で歯石除去をするなど、一定の決まりがあるため、「一日で全ての歯石を取りクリーニングもして欲しい」など、要望によっては保険適用外になることもあります。
・縁上歯石
超音波スケーラー・エアースケーラー・手用スケーラーを使って除去します。比較的容易に除去できるので、1回の治療で多くの歯石を取ることができます。
・縁下歯石
キュレットスケーラーという、歯周ポケット内の歯石を除去する専用の手用スケーラーを使います。超音波スケーラーを併用することもあります。
歯石は硬く強固に沈着しており、除去に時間がかかります。一度に除去できる量が限られるので、歯石の付着範囲によっては数回の施術が必要です。
歯石取りで痛みはあるの?
縁上歯石を取る場合は痛みを感じない方のほうが多いです。
超音波スケーラーやエアースケーラーを使う場合でも、歯を削るわけではありません。
歯を削るような痛みは基本的にありませんが、歯にひびくような感じやしみる感じがすることがあります。刺激を感じやすい方の場合は、痛むように感じることもあるので歯科衛生士やスタッフに伝えるようにしましょう。
力を弱めにして除去したり、手用スケーラーを使うことで、刺激が緩和されます。
歯肉炎や歯周病がある場合、痛みを感じやすくなります。縁下歯石を除去する時は、浅い部位の縁下歯石以外は、局所麻酔を使って行うことが多いです。
歯石取りの重要性
歯石が沈着したままだと、歯肉炎や歯周病の原因になります。歯石の周囲に汚れが溜まりやすくなり、細菌の温床になるからです。
特に縁下歯石は、歯周ポケット内で歯周病菌が繁殖しやすくなり、歯周病の進行の原因になります。歯石は定期的に除去するようにしましょう。
歯石取りの頻度は、歯周病などの問題が全くない方でも半年に一度程度がおすすめです。歯周病がある場合には、歯科医師や歯科衛生士と相談の上、歯石除去の頻度を決めると良いでしょう。
歯周病とは
歯周病とは、歯周病菌による感染症で、歯と歯ぐきの隙間の歯周ポケットから侵入した細菌が歯の周囲の組織に炎症を引き起こすものです。
初めは歯ぐきのみの炎症で「歯肉炎」と言われる状態ですが、進行すると歯を支える骨である歯槽骨を溶かしてしまいます。歯槽骨が溶かされると、歯は支えられなくなり、グラグラと動くようになります。
日本人の成人の場合、歯を失う原因の多くはこの歯周病によるものです。
歯周病の予防には、定期的に歯石を除去する習慣がとても大切です。
また歯周病が今以上進行しないための治療として、縁下歯石の除去は必要不可欠です。
歯石取りと合わせて受けたい歯科医院のクリーニング
歯科医院で歯石除去を受けた後は、歯の表面のクリーニングを受けるのがおすすめです。
自宅では取りきれていないプラークを歯科衛生士が除去していきます。歯周病や虫歯の予防になるだけでなく、再び歯石が沈着するのを予防することができます。
保険適用の範囲内で行うことができる「機械的歯面清掃」と自費治療で行う「PMTC」があります。歯周病治療の一環で、歯の表面を滑らかにする場合は保険適用の範囲内でクリーニングを行うことができます。
一方で予防歯科として、自分では取りきれない汚れを隅々までクリーニングをしたい場合には自費で行うPMTCがおすすめです。
【PMTC】
PMTCとは、「プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング」の略で、歯科衛生士が様々な専用の器械・器具を使って、全ての歯の汚れをきれいに取り除くクリーニングです。小さなブラシのような器具やゴムのチップ、専用の研磨剤などを使って、取り残しのプラークや細菌の集合体であるバイオフィルムを除去します。
飲食物などで付着した歯の着色も落とすことができ、口臭の予防にもなります。矯正治療中の方にもおすすめです。
当院でも予防歯科でPMTCの施術を積極的に行なっています。
PMTCでは、歯の表面の汚れを落とすことはできますが、歯自体の色を白くすることはできません。歯自体の色を白くしたい場合には、歯科医院のホワイトニングがおすすめです。
【パウダークリーニング】
パウダークリーニングとは、エアフローという器械を使って行う歯の清掃のことです。
細かなパウダー状にした炭酸水素ナトリウム(重曹)やグリシン(アミノ酸の一種)を強力なジェット水流で歯に吹き付けていくことで汚れを落としていきます。
これまで落とすのが困難だった茶渋やタバコのヤニなどの着色や、歯周病の原因となる細菌の固まりであるバイオフイルムも落とすことができ、従来から行っているPMTCと併せて行うことで、よりスピーディで効果的なクリーニングができます。
【歯周外科治療】
歯周外科治療とは進行してしまった歯周病に対して行う外科処置のことで、歯茎を切開し、歯周病の根本原因になっている歯の根などに付着している歯垢・歯石・毒素を除去する治療のことです。症状や状態によって外科的な処置が効果的な場合もありますので、歯周病や歯周ケアについてお悩みの方は一度歯科医師に相談することがおすすめです。
定期検診の必要性
歯石取りは、定期的に必要な施術です。虫歯や歯周病のチェックなどの定期検診で受診していただき、同じサイクルで歯石も取っていただくのがおすすめです。
患者様のお口の状態によって、歯科医師や歯科衛生士と相談の上、3ヶ月〜4ヶ月に一度、または半年に一度程度の頻度で受けていただくのが良いでしょう。
虫歯や歯周病は、初期の段階で治療をすれば、患者様の負担が少ない治療になります。歯の寿命を延ばすことにも繋がります。定期検診を受けていただくことで、自覚症状がでる前に虫歯や歯周病を発見することができます。
まとめ
歯石取りは定期的に受けるようにしましょう。
プラーク(歯垢)は歯ブラシで除去できますが、歯石は除去できません。歯科医院で除去する必要があります。歯石が付着したままだと、歯石の周囲に細菌が繁殖しやすくなり、歯周病の原因になります。
歯石除去は、お口の中に歯周病などの問題が無い方でも半年に一度程度は受けていただくのがおすすめです。歯科医師や歯科衛生士と相談の上、定期検診と併せて歯石取りの頻度を決めていきましょう。
プルチーノ歯科でも、歯石取りを行なっています。
当院では、月曜〜金曜までの平日、土曜日、日曜・祝日も診療しています。平日は都合が付きづらい方でも定期的に歯石取りの施術を受けていただくことができます。