一般歯科
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歯磨きの時に使う歯磨き粉は、どうやって選んでいますか?
毎日の歯磨きは、虫歯や歯周病の予防にとても大切です。毎日の歯磨きをより効果的なものにするために、今回は歯磨き粉の選び方について詳しく解説していきます。
Contents
歯磨き粉の役割
おそらく多くの方が、歯磨きの時に歯磨き粉を使用しているのでは無いでしょうか。
しかし、実は歯磨き粉を使えば、汚れが取れるわけではありません。
歯に付着した細菌汚れを除去するためには、しっかりと歯ブラシで擦ることが重要です。ですから、歯磨き粉は必ず使わなければならないものではありません。
しかし、歯磨き粉を使うことで、歯ブラシでの歯磨きプラスアルファの効果が期待できます。
虫歯予防や歯周病予防、口臭対策など、お口のお悩みに応じて選ぶのが良いでしょう。
歯磨き粉を選ぶ基準は?
歯磨き粉は多くの種類の製品が販売されています。価格帯も1,000円以下の手軽なものから3,000円近いものまで様々です。
今回は選ぶ基準を、歯磨き粉の成分に着目して解説していきます。
歯磨き粉は、大きくわけて2種類の成分からできています。「基本成分」と「薬効成分」です。
お口のお悩みに応じた歯磨き粉を選ぶ時には、薬効成分がポイントになります。
基本成分には、研磨剤・湿潤剤・発泡剤・粘結剤・香味剤・保存料などです。
歯磨き粉の性状や、好みのフレーバーで選ぶのも良いでしょう。
薬効成分で選ぶ
歯磨き粉に配合されている薬効成分によって、選択するのが良いでしょう。
薬効成分には、虫歯予防・歯周病予防・口臭対策・知覚過敏対策・歯のホワイトニング対策になるものなど、様々なものがあります。
いくつかの成分が含まれているものもありますので、ご希望のものを選択するのが良いでしょう。
歯磨き粉の性状やフレーバーで選ぶ
歯磨き粉と言っても、粉状のものはほとんど無く、多くがペースト状になります。泡立ちにくいジェル状のものも販売されています。
歯磨き粉の性状は好みに応じて選択するのが良いでしょう。
歯磨き粉には発泡剤に含まれているものが多く、口の中で泡立ちます。しかし泡で汚れが落ちるわけではありませんので、泡は時に邪魔になることもあります。
鏡を見てしっかり磨きたい場合には、発泡剤が含まれていないジェル状のものを選ぶと、磨きやすくなるでしょう。
フレーバーは、大人用のものではミント味が多いです。フレーバーは一時的な清涼感を得るために配合されていますので、どのようなものでも構いません。
好みの味のものを選ぶのが良いでしょう。好みのフレーバーだと歯を磨くのが楽しくなるという精神的な影響もあるでしょう。
虫歯予防にはフッ素配合の歯磨き粉
虫歯予防にはフッ素が配合された歯磨き粉がおすすめです。
フッ素は、歯磨き粉の成分表示には次のように記載されています。
- フッ化ナトリウム
- モノフルオロリン酸ナトリウム
- フッ化第一スズ
フッ素の配合濃度はppmという単位で表されており、歯磨き粉のパッケージに記載があるものであれば、確実にフッ素が配合されていることが確認できるでしょう。
2024年現在、日本で認可されている歯磨き粉のフッ素配合濃度は1,500ppmまでとなっています。
濃度が高いものの方が効果は高くなります。市販されているものでは1,450ppmのものが最大になります。
フッ素の働き
フッ素は、歯の表面の構造を変化させ、酸に溶けにくくする作用があります。
また、虫歯菌に対する抗菌作用や、歯質から溶け出したミネラルを再び取り込む再石灰化作用を促進する働きがあります。
子どもから大人まで利用することができ、最近では歯茎が下がってきた高齢の方の根面虫歯の予防にも利用されています。
知覚過敏にお悩みの方におすすめの歯磨き粉
知覚過敏は、歯周病や不適切な歯磨き、加齢などで、歯の根本の象牙質が露出した時に起こりやすい症状で、冷たいものなどの刺激が神経に伝わり痛みを感じるものです。
刺激を受けた時だけ、ズキンと「しみる」ようになります。
知覚過敏におすすめの薬効成分は次にあげる通りです。
- 硝酸カリウム
- 乳酸アルミニウム
- リン酸三カルシウム
- ハイドロキシアパタイト
神経の伝達をブロックし、象牙質にある象牙細管を封鎖して、歯がしみるのを防ぎます。
歯周病を予防したい方の歯磨き粉
歯周病を予防したい方、また歯肉炎・歯周炎になっている方には、原因となる歯周病菌に殺菌作用のあるものや、歯肉の炎症を抑える抗炎症作用、歯肉を引き締める作用がある歯磨き粉がおすすめです。
歯周病向けの薬効成分には多くの種類があります。代表的なものを紹介します。
<抗菌作用のある薬効成分>
- 塩化ベンゼトニウム
- 塩化セチルビリジニウム
- グルコン酸クロルヘキシジン
- 塩酸クロルヘキシジン
<抗炎症作用のある薬効成分>
- グリチルリチン酸類
- 塩化リゾチーム
<歯肉の引き締め作用のある薬効成分>
- 塩化ナトリウム
口臭が気になる方の歯磨き粉
お口の中で細菌が繁殖すると、食べ物を分解・発酵する時にガスを発生し、口臭の元になります。代表的な口臭の原因になるガスには、メチルメルカプタン(玉ねぎが腐ったような臭い)や硫化水素(卵が腐ったような臭い)があげられます。
口臭の予防には、殺菌作用のある成分が配合されている歯磨き粉を選ぶのが良いでしょう。
ただし口臭の原因は一つではありません。歯周病や虫歯が口臭の原因になっていることもあります。また副鼻腔炎や糖尿病などの全身疾患がある場合に、口臭が発生しやすくなっていることもあります。
口臭が気になる場合には、まずはお口の中の検査、そして必要に応じて健康診断等で全身の検査をすることをおすすめします。
口臭が気になる方におすすめの殺菌作用のある成分は次にあげる通りです。
- ラウロイルサルコシンナトリウム
- 塩化セチルビリニジウム
- ミルラ(天然ハーブ)
- フェンネル(天然ハーブ)
またスッキリ感を得たい場合には、好みの香料の歯磨き粉を選ぶのも良いでしょう。ただし香料は、口臭に蓋をしているようなもので、臭いの元に対する効果はあまり無いと考えた方が良いでしょう。
ホワイトニングにおすすめの歯磨き粉
ホワイトニング歯磨き粉と呼ばれている歯磨き粉は多く市販されていますが、歯磨き粉だけで歯質自体を白く漂白することはできません。
歯に付着した着色などの汚れを落とし、本来の歯の白さにするものになります。
歯の黄ばみや着色汚れが気になる場合は、ホワイトニングの施術を受けた後のメンテナンスにおすすめです。
おすすめの薬効成分は次にあげる通りです。
- ポリリン酸ナトリウム
- ピロリン酸ナトリウム
- ポリエチレングリコール
- ポリビニルピロリドン
これらの成分には、汚れを浮かせて落とす作用や、タバコのヤニや着色汚れを落とす作用があります。
歯磨き粉選びに迷ったら?
当院でも歯磨き粉の取り扱いがあります。購入に迷っている場合には、口腔内の状態に合わせた歯磨き粉をご案内させていただきますので、お気軽に歯科医師や歯科衛生士にお尋ねください。
ブラッシング指導
お気に入りの歯磨き粉を見つけたら、あとはしっかりとブラッシングできることが大切です。自己流の歯磨き方法では、どうしても磨き癖などにより磨き残しができてしまうものです。歯科医院ではブラッシング指導を行なっています。
歯磨き方法をチェックし、患者様一人一人に合った方法をお伝えしていきますので、是非ブラッシング指導を受けてみてください。
当院の診療のご案内
当院では、一般的な虫歯治療だけでなく、予防歯科・矯正歯科・審美歯科なども行なっています。矯正治療中の歯磨き方法や、ホワイトニングを希望する方の歯磨き方法についても詳しくお伝えさせていただきます。
<当院の診療科目>
一般歯科・矯正歯科(成人矯正)・小児歯科(小児育成矯正・食育指導)・口腔外科・インプラント
予防歯科・歯周病治療・審美歯科・ホワイトニング 等